テレワークとは 定義や導入例を紹介

テレワークとは 定義や導入例を紹介

昨今話題になることの多いテレワークですが、何となくイメージを持っているものの、具体的な働き方や導入された例が分からないという方も多いのではないでしょうか。

テレワークは今後の新しい働き方の一つとして、IT系の企業に限らず、様々な業界・業種で導入が進んでいます。

この記事では、テレワークの定義や種類、メリット・デメリットや準備すべきものなどについて紹介します。

テレワークとは?定義について

テレワークとは?定義について

総務省の定義では、「テレワークとは、ICT(情報通信技術)を利用し、時間や場所を有効に活用できる柔軟な働き方」とされています。

具体的には、パソコンを使って自宅で書類作成や業務のためのコミュニケーションを行ったり、出先で営業用資料をスマートフォンやタブレットでチェックしたり会議に参加するといった、オフィスに縛られない働き方です。

日本においてテレワークが普及してきた背景には大きく3つあります。

1つ目は「ICT技術の発展」です。
インターネット利用のためのインフラが整備されたことや、モバイル端末の普及、テレワークに向いたクラウドサービスなどの技術が普及を後押ししています。

2つ目は政府の進める「働き方改革」です。
働き方改革では生産性の向上や、多様な働き方の実現による潜在労働力の活用が求められており、テレワークはその実現手段として効果的です。

3つ目の理由は「新型コロナウイルスの感染拡大防止」です。
対人接触によって感染する感染症への対策に、直接の対面を伴わないテレワークは有効だと認識されています。

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テレワークには6つの形態がある

テレワークには6つの形態がある

時間や場所にとらわれないテレワークには、どのような種類があるのでしょうか。
総務省の「テレワークセキュリティガイドライン」では、テレワークの主な形態として次の6つを挙げています。

リモートデスクトップ方式

オフィスに設置されたパソコンなどの端末を、テレワーク用の端末から遠隔で操作や閲覧する方法です。
オフィスと同じ環境でできるため、効率的に仕事ができます。

一方で、端末間の通信速度が遅い場合には表示や動作の遅延が生じるため、インターネット環境や端末に高い性能が求められます。

仮想デスクトップ方式

仮想デスクトップ方式とは、サーバー上の仮想デスクトップ基盤にテレワークで利用する端末からアクセスする方法です。

仮想デスクトップとはサービスとして提供される仮のパソコンなどを意味します。1台のサーバーでも複数台の端末を提供することができるほか、管理者による一括管理ができるためセキュリティ対策などが容易です。

リモートデスクトップ方式と同様にインターネット回線や端末に性能が要求され、個々の仮想デスクトップの端末に高い性能を求めにくいのが難点です。

クラウド型アプリ方式

近年増えている方式で、インターネットで接続されている環境からクラウドサーバー上で提供されるアプリケーションにアクセスして作業を行う方式です。
基本的に作業者がオフィスでもテレワーク環境でも同じように仕事ができます。

また、端末やインターネット回線速度の作業への影響が少ないのもメリットです。
利用しやすい反面、利用サービスが多くなることで管理が煩雑になったり業務が非効率になったりするデメリットがあります。

セキュアブラウザ方式

クラウド型アプリ方式のセキュリティを強化した方式です。
特別なブラウザ(インターネットの閲覧に用いるアプリ)を利用することで、通信の暗号化やファイルのダウンロード・印刷などの機能を制限します。

この方式ではセキュリティは高まりますが、端末や回線への要求性能がやや高くなることや、利用可能なアプリケーションの種類に制限が増えます。

アプリケーションラッピング方式

アプリケーションラッピング方式は、テレワーク用の端末に「コンテナ」という仮想的な環境を作り、その内部で業務用アプリケーションを動作させる方法です。

仮想デスクトップの環境が端末内にあるイメージで、端末内にデータを残さずに業務を実行でき、インターネット回線の速度の影響を受けにくいメリットがあります。
一方、端末に高い性能が求められ、コンテナ内外のアプリを別々に用意する必要があるためコストが高くなりがちです。

会社PCの持ち帰り方式

比較的古くから行われているテレワーク方式で、オフィスでも利用している端末や紙資料を持ち帰ってテレワークでも利用します。
オフィスと同じように仕事ができるため効率的です。しかし、勤務時や営業時には端末や資料を携帯して移動する必要があり、紛失や盗難、破損などのリスクが高まります。

テレワークの種類の決まり方

テレワークの種類は、企業や職種における仕事の仕方や業務システム、通信インフラの状況などによって変わります。すでに会社支給のノートパソコンが多くの従業員に行き渡っている場合は、持ち帰り方式をベースに、クラウド型アプリなどを組み合わせることが多いです。

企業で提供できる端末がない場合は、BYOD(従業員の個人端末を業務で利用する)環境を整備してクラウド型アプリ方式やアプリケーションラッピング方式を準備することになるでしょう。

営業職などではスマートフォンでセキュアブラウザや仮想デスクトップを利用して必要最小限の情報確認や資料閲覧などができるようにするケースが多いです。この場合、出社時に資料作成などの事務作業はまとめて行います。

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テレワークのメリット

テレワークのメリット

テレワークを行うことができた場合、個人の働き方はどのように変わるのでしょうか。
主なメリットになるのは、「ワークライフバランスの実現」「業務効率化」「居住地、勤務地の自由」の3つです。

ワークライフバランスの実現

政府が進めている働き方改革では、ワークライフバランスの実現が大きな目的です。
ワークライフバランスとは、仕事と生活のバランスのことで、幸福を感じられるワークライフバランスはそれぞれ異なります。

社会問題化していた過剰な労働時間や出退勤にかかる長い移動時間などがワークライフバランスを損ねる大きな原因とされています。

テレワークによる移動時間の減少や働く時間帯が自由になることで、ワークライフバランスを実現しやすくなるのです。

実際、テレワークの実現によって個人的な趣味活動の時間や、ボランティアなどの社会活動の時間、家事・介護・育児などの家族との時間が増えたと実感している方も多くいます。

業務効率化

「業務効率化」もテレワークに期待されるメリットの一つです。
テレワークを実現することによって、大幅に効率化できる業務は多いと考えられています。

営業職であれば、オフィスに戻ることなく必要な会議や資料の確認・作成を行うことができることで、多くの商談や営業訪問ができるようになります。
すべての商談や訪問をメールやビデオ会議で行えることにより、客先に足を運ぶ必要もなくなり、時間や交通費も大きく削減可能です。

また、従来は上司のハンコが必要だった承認作業がデジタル化され、スマートフォンを使ってワンクリックで承認されるようになれば、社内稟議や検収作業などもスムーズになります。
それぞれがテレワーク環境で経費申請ができれば期限切れも少なくなり、経理の仕事も楽になるでしょう。

デザイン系のクリエイティブ職であれば、作業に集中しているときに同僚から相談を持ちかけられて集中が切れてしまうことも少なくなり、制作業務がはかどるケースも多いです。そのほか、様々な業務や職種でテレワークによる業務効率化が期待されています。

居住地・勤務地の自由

テレワークであれば、住んでいる地域や勤務先の地域を気にすることなく仕事ができます。そのため、勤務先は都心のオフィスであっても地価の安い郊外に住むことが可能です。
必要なときだけオフィスに行けば良いため、住居費だけでなく交通費や移動時間も大きく減ってプライベートにも良い影響が出るでしょう。

また、職業能力に自信のある方なら、全国の様々な企業で働いたり仕事を請け負うこともできます。
地方に住みながらも、給与水準の高い都市部の企業に就職して働くことも可能です。就職先候補が全国に広がることで、就職活動もしやすくなるでしょう。

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テレワークのデメリット

テレワークのデメリット

テレワークはメリットも多いですがデメリットもあります。
個人がテレワークを行う際に注意しなければならないデメリットは次の通りです。

仕事とプライベートの切り分けが難しい

テレワークではその性質上、仕事とプライベートの切り分けが難しくなります。自宅で仕事をしようと思っても、誘惑が多くなかなか仕事に集中できないという方も多いです。
小さな子どものいる家庭では、子どもが気になったり邪魔したりするために落ち着いて仕事ができないケースもあります。

また、仕事の時間だと思っていても家に宅配物が届けば受け取らなければなりません。労働時間の管理もずさんになりがちで、公私の時間がどうしても混ざってしまいます。
テレワークに慣れるためには多少の時間が必要になるでしょうし、セルフマネジメントのノウハウも身につける必要があるでしょう。

テレワーク用の環境作りにノウハウや資金が必要

会社がテレワークを始めると言い出しても、個人にその準備がまったくない場合は環境作りも一苦労です。

この場合、最低でもパソコンやスマートフォンなどのモバイル端末に、インターネット回線が必要です。快適に仕事をしようと思えば端末や回線は良いものを用意したいですし、外出用のモバイルルーターやプリンタが必要な場合もあります。

デザイン業の場合は、ペンタブレットや業務用アプリが必要です。
営業職は、商談のためにカメラや照明にも気を遣う場合があります。オフィスではあまり気にしなかった机や椅子の高さも気を遣うようになったという方も多いです。

テレワークに必要なものを洗い出し、用意するためには相応のノウハウや資金が必要です。そのため、費用負担も会社側とよく相談しなければなりません。

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運動不足になりやすい

テレワークをしている方の多くが陥りやすいのが運動不足です。
通勤や社内移動の時間が減るのはありがたいことですが、その分だけ一日の運動量が低下してしまうことも多く、長期間続くと心身への影響が懸念されます。

運動不足による体重増加や筋力低下、代謝の低下などはケガや病気の原因となるため十分な注意が必要です。
また、テレワークによって社内のコミュニケーション量が減ったり、外出機会が減って気が滅入るなどストレスを抱え込む方も少なくありません。

定期的に運動を行うことは気分転換にもなるため、スケジュールに運動の時間を組み込んで意識的に行うのが良いでしょう。

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テレワークの導入例

テレワークの導入例

次に、政府が発表しているテレワークの導入例から3つ導入例を紹介します。

味の素株式会社

業種:製造業
内容:終日あるいは部分在宅勤務、モバイルワーク、サテライトオフィス

食品製造大手の味の素株式会社では、「どこでもオフィス」というテレワーク制度を導入しています。

終日だけでなく30分単位での部分在宅勤務が申請可能で、モバイルワーク用PCの導入や全国140箇所のサテライトオフィスとの契約によってオフィス外でも働ける環境を提供しています。

合わせてほとんどの職種にコアタイムなしのフレックスタイム制度を適用し、労働時間の短縮につながっているそうです。

ベネッセホールディングス

業種:教育業、グループ会社管理
内容:終日あるいは部分在宅勤務、

「進研ゼミ」で知られるベネッセホールディングスでは、従来月5日だった在宅勤務の日数上限を撤廃しています。

従業員に貸与パソコンやスマートフォンを支給するだけでなく、終日在宅勤務の従業員は残業ができないルールを作り、時間内でしっかり成果を出すように動機づけています。

福利厚生ではなく、生産性向上のためであるとの方針がしっかりと伝えていることで、利用者も意識高く業務に取り組んでいるようです。

インフォテリア株式会社

業種:情報通信業
内容:部分在宅勤務

ソフトウェア開発を行うインフォテリア株式会社は、2011年3月の東日本大震災をきっかけに全社にテレワーク制度を導入しています。

会社が「テレワークをしたほうが良い」と考えた日を積極的に発信しており、猛暑、台風、大雪などの気象条件の悪い日にテレワークを推奨する案内が管理部門から出るそうです。
また、外国籍の従業員がテレワークを活用しながら帰省するなども行われています。

テレワーク導入のために準備するもの

テレワーク導入のために準備するもの

テレワークの導入の際に必要になるものについて、会社と個人に分けて解説します。

会社側が準備すべきもの

会社がテレワークを許可するだけでテレワークが可能になるわけではありません。
会社で準備すべきものには、次のようなものがあります。

就業規則

会社の就業規則には労使のトラブルを避けるため、テレワークによって働く従業員の労働日数・時間の扱い方を載せておく必要があります。事前に労使で話し合って決めることが大切です。
また、テレワークで働く従業員が評価や昇進・昇格で不利にならないよう評価制度のバランスにも注意しましょう。

運用ルール

テレワークを導入する場合、公私の区別がつきにくいことから、出退社のルールだけでなく会議や朝礼などの参加確認、社内での連絡方法についても工夫が必要です。
また、テレワークで必要になった経費のルールや、システム上のトラブル、メンタルの問題などへの相談窓口もあると良いでしょう。

システム

実際に仕事をするための環境を用意するのは基本的に会社側の役割です。
業務効率性や予算、セキュリティのバランスを考えてシステムを用意する必要があります。

個人のデバイスを利用するBYODの採用時は、アプリや通信費の負担も検討しましょう。利用可能なアプリだけでなく、許可されていないアプリやツールを使うシャドーITへの対策も必要です。

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個人で準備すべきもの

テレワークを行うにあたって、基本的に必要なものは会社が準備すべきです。
しかし、個人で準備が必要になることもあるため、その場合は以下を意識すると良いでしょう。

デバイス

パソコンやタブレット、スマートフォンなどです。
会社支給のものがあれば問題ありませんが、BYODの際に古いデバイスしか持っていない場合は生産性に悪影響が出る可能性があります。そのため、上司や社内SEなどに相談して適切なスペックのものを用意しましょう。

作業環境

テレワークを行うための環境も準備する必要があります。
自宅内に専用の仕事部屋・仕事スペースが作れると良いですが、難しい場合はレンタルスペースやコワーキングカフェなどの利用も検討してみましょう。

テレワーク向きのカフェや施設があれば利用してみても良いでしょう。どこでも使えるモバイルWi-Fiルーターがあると便利です。

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テレワークをホテルで楽しむ

ホテルでテレワークをしている方も増えています。
テレワークの場所にホテルを選べば、「静かな空間で仕事に集中できる」「完全個室でセキュリティも安心」「シャワーやベッドも使える」などのメリットがあります。
テレワーク向けのホテルの選び方なども紹介するので、ぜひ参考にしてください。

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テレワークを取り入れて新しい働き方を

テレワークを取り入れて新しい働き方を

テレワークは時間や場所の制約がない自由な働き方の総称です。
近年の社会情勢から、テレワークを導入する企業が増えており、一つの働き方として認知されています。

しかし、業界・業種によってはテレワークの対応はこれからです。そのため、早く対応すればより良い働き方につながるでしょう。
会社のテレワーク制度を利用したり、テレワーク採用にチャレンジして、新しい働き方を始めてみてはいかがでしょうか。

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